【案内人ブログ】No.25(2019年4月)

オジロワシと鮭

私は三浦綾子記念文学館で案内人のボランティアをしているが、「旭川野鳥の会」にも所属し、趣味でバードウォッチングを楽しんでもいる。会に入って最初のうちは、内陸や山岳部に住む、鳴き声の美しい鳥に魅きつけられていたが、最近はもっぱらオジロワシに興味を持つようになって来た。というのは、最近の新聞記事で、札幌中心部を流れる豊平川あたりでもオジロワシを見かけるようになった。それは、どうも豊平川に鮭の回帰が増えていることと関係しているらしい。もっとも、そんなことには気付かずに通り過ぎていく人が大半のようであるが、という記事であった。何年か前に鮭の溯上を止めていた、深川の花園頭首口に、魚道が設けられ、私の住む旭川でも鮭の回帰は増えていると実感している。3年ほど前に「大雪と石狩の自然を守る会」会長の寺島一男先生に連れられて、忠別川の緑東大橋付近で、溯上してきた鮭を自分の目で見た時の興奮を鮮やかに思い出す。鮭は長い海洋生活を経た後に、自分が生まれた川に産卵のために帰ってくる。どのようにして自分の生まれた川を発見するのかについては、諸説がありはっきりとはしていない。鮭は清流の川にしか卵を産まないので、これがあるということは、自然が残っている、あるいは保護されていることのバロメーターのようになっている。その上に、生態系の頂点に存在するオジロワシの姿も見られるとなれば、それは実にすばらしいことなのだ。

昨年秋に、旭川野鳥の会の仲間たちとサロマ湖のキネアネップ岬に行った時のことを思い出す。自分の持っている双眼鏡を通してみたオジロワシの姿は吹き出したくなるようなものだった。一羽のオジロワシが一匹の鮭を足元に踏みしだいている。それをまるで護衛するかのように、にらみをきかせるもう一羽のオジロワシ。その周りを「僕たちにもくれよ」と言うかのように、ウロウロしている三羽のカラス。「いやだ、やらないよ」と言っているように見える、オジロワシの姿。そのうちにバトルが始まった。

オジロワシは文学館に近い美瑛川では見ることはできないが、石狩川の永山新川に近い上流付近や、まれに常磐公園あたりでも見ることができる。国の天然記念物であり、国RDB絶滅危惧種でもある。

文学館のある外国樹種見本林では、アカゲラの食痕を見ることができる、エゾエンゴサクや福寿草、桜が咲き出す春は、もうそこまで来ている。私たち案内人は、文学館と三浦綾子さんを案内するとともに見本林についての案内もできるように準備している。文学館にお越しの際には、ぜひ見本林も散策されることをおすすめする。

三浦綾子さんは、東京へ移り住まないかといろいろな人からすすめられてもそれを断り、終生この旭川に住み、旭川で書くことにこだわり続けた。それはなぜそうだったのかを感じとって頂ければと思う。

by 三浦文学案内人 三浦隆一

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