感想シール(9)

終戦75年企画展「アノ日、空ノ下デ君ハ何ヲ想フ」では、回廊にボードを設置しており、感想を書いたシールを貼れるようになっています。

2020年7月27日の日付で書かれた1枚をご紹介します。

「綾子さんが命を懸けて書き上げた『銃口』が生まれる背景に、こんなにも丹念な取材や多くの人との関わりがあったのか!と驚きました。金俊明と竜太の再会シーンは特に好きな場面でしたが、その挿絵は想像以上に迫力がありました。創作ノートや原稿のレプリカを手にとることができ、『銃口』が生まれる現場を肌で感じることができました。また、パネルの下の解説文が特に強く心に残りました。(特に最後の3枚が。)これほど内容の濃い展示物、随所にある工夫、落ち着く空間……。この文学館はやはり日本一です!!!」

ここまでお褒めいただけるとは、誠に恐縮です(汗)。この文学館は、三浦綾子とその作品を愛する、多くの(おびただしい数といっていいほどの)方々によって成り立っていて、まさにその集合体(あるいは結晶)といっていいのではないかと思います。愛され続けて22年、その歩みが、文学館の雰囲気を醸し出しているのでしょう。
さて、『銃口』ですが、三浦綾子最後の長編小説であり、『母』と並んで“三浦綾子の遺言”と呼ばれる作品です。パーキンソン病に苦しみながら執筆し、見事に書き上げたことは、それだけでも凄いことであり、執念すら感じるほどです。三浦綾子作家人生の集大成ともいえる作品ですので、その深さと熱量は群を抜いており、執筆に際しての準備もやはり桁違いであったと思います。特に実際の事件(北海道綴方教育連盟事件)を取り扱うこと、満州(現在の中国東北部)での場面を描くこと(陸軍の様子を含む)などは、膨大な資料を読み込むのはもちろん、取材に取材を重ねて、表現を確定させていったことが伺い知れます。後に綾子が「本当はもっと書きたかった」と記していますが、この作品を通して、三浦綾子は平和への思いをとにかく伝えたかったのでしょうね。読む私たちに迫力が伝わってきます。それを感じ取ってくださって光栄です。

終戦75年企画展「アノ日、空ノ下デ君ハ何ヲ想フ」

おトクな入館券

三浦綾子『銃口』文庫本

三浦綾子『青い棘』文庫本

企画展 記念ブックジャケット

小冊子『アノ日、空ノ下デ君ハ何ヲ想フ』

田中綾『非国民文学論』単行本

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